甘ったるい タルト。 #トレケイ #ツイ腐テ小説500users入り 運命論者は最後に笑う

Rin音(りんね)のプロフィールや人気・おすすめ曲を紹介 次世代ラップシーンを担う大学生ラッパー

甘ったるい タルト

曰く、彼女は「お節介焼き」なのだと。 天気は曇り、地球へ降下してからもうしばらく経った。 ミネルバはとくに支障もなく運航し、またクルー達もいつも通りの一日を送っていった。 そろそろ昼のころあいだと思い、同僚のルナマリアに声をかける。 承諾をあっさりもらい、他愛もない日々の話をしながら食堂へ向かっていった。 今日の食堂のランチはシチューが付いていた。 湯気とともにシチューの美味しそうな香りが鼻をくすぐる。 普通ならば何事もなく嫌いなものは誰にも見つからないように隠しつつ、そのままトレーを置いて出て行くつもりだった。 だが、どうやら一番見られたくない相手に見られてしまう。 「シン、ニンジン残してる」 注意するような鋭い声がひとつ。 声の主は真正面に座るルナマリアだった。 やばい、気づかれた。 という言葉が自分の中で浮上するのにしばらくの時間を有してしまう。 いままで気づかれなかった、なんでいきなり気づくんだ。 という気持ちが邪魔したせいかもしれない。 「・・・・・後で食べるんだよ」 苦し紛れにその一言だけ呟くと、他の食べ物に手をつける。 普通はここで引き下がってくれると嬉しいが、どうにもそうはいかないらしい。 「そう言って、残すんでしょー」 「あーもう、うるさいなぁルナは」 しばらくの掛け合いを繰り返する。 そして、食べ終わってしまうと、残るはニンジンだけだ。 言い逃れができない状況になってしまった。 嫌いなものがニンジンなどと、また絶対彼女は自分をガキ扱いするに決まっている。 すると、ルナマリアはシンの分であるニンジンをフォークで突き刺すと、シンの前に突き出した。 要は、「食え」ということだ。 そんなことより、これは彼女のフォークだ、だとすると自分が此処でこのフォークを使うということは、もしかして。 ぐるぐるとその考えが回る。 顔が熱くなるのを感じた。 「そ、そのぐらい自分で食べる!」 「シンってばいつまで経ってもそう言って食べないじゃない。 ほら、食べたらこれあげるから」 紅い軍服から取り出されたのは、鮮やかな青色のリボンで口を結ばれた可愛らしくラッピングされた小さなイチゴのタルト。 お茶と一緒に食べるようなおやつだろう。 見るとおいしそうだが、なにより彼女がこんなものを持ってたということに驚く。 「・・・・・・・俺はガキかよ」 お菓子をもらうために嫌いなものを食べる、そんなことをヨウラン達が聞いたら笑い話になるし、なによりそんな子どもみたいなこと、彼女の前でなんて、たまったもんじゃない。 「ガキじゃない」 「一歳しか離れてないだろっ!」 なにより、あっさりとガキ扱いされてしまったのと、たかだか一歳でこうも年下に見られた悔しさで、声が荒くなる。 それでも、そんなことは日常のことで、いつもこんな感じで言いあってたりするのだから、何をいまさらといった感じになるだろう。 「もう休憩少ないんだから、早く食べる!」 急かすように、ずいっと、またニンジンの刺さったまま突き出す。 クルー達の視線がどうにも痛い。 それは只でさえ目立つ赤服である少女がニンジンを刺したフォークを同じ赤服の少年に突き出している姿は、はたからみていかにも変であったし、また2人の間柄を知っているものであればその光景を微笑ましく見ていたかもしれない 「うっ・・・・・」 結局は妥協して食べるしかない。 色々な視線を受けながら、また間接的にでも彼女と同じ食器を使うことへの気恥ずかしさで顔を赤くしながら。 結果的にもらったイチゴのタルトを、彼女が口惜しそうにしているを見て。 半分あげてしまったのと、そのタルトがやたら甘くておもわず咽てしまったことも、また別の話としておこう。 どうやら、当分先「弟分」から抜け出せそうにないようだ。

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甘ったるいタルトと、嫌いなニンジンの組み合わせ。

甘ったるい タルト

思えば、入学当初から彼のことが好きだったのだ。 堅苦しい入学式が終わり、初めてハーツラビュル寮に足を踏み入れたとき、緑色の頭髪が目に映った。 彼は周りの寮生より頭一つ抜けて背が高く、その声には芯があってどこか艶を纏っていた。 「俺はトレイ・クローバーだ。 同じ寮同士、仲良くしよう」 そう言って差し出す彼の手は無骨で少しカサついたまさに男の手って感じだったけれど、とても暖かかったのを覚えている。 談話室で先輩にも同級生にも挨拶してまわる彼に対して、このときはまだ「マジメくんだなぁ」くらいにしか思っていなかった。 まさか後々、自身が焦がれてやまない程の存在に成ろうとは考えもしなかったのだ。 オレは今まで培われた対人スキルから友人が出来るのは早かった。 周りにはいつも人がいたし、男子校とはいえモテを追求することもやめなかった。 自分磨きとマジスタグラム。 それが俺のルーティン。 だが意外にもオレの1番近くに居たのはトレイくんだった。 自由奔放なオレの外での性格とは正反対に彼は優等生で一見ウマが合わなさそうだけれど、まるで凸と凹がカチッとハマったみたいに彼の隣は居心地がよかったんだ。 彼の凛々しい声がオレの名前を呼ぶとき、オレの胸は他の誰に呼ばれたときよりも高鳴った。 彼はいつもちょうど良い距離にいてくれてて、それでいて「何かあったら頼ってもいいんだぞ」ってオレを安心させてくれた。 だからいつしか、オレにとっての彼がそうであるように、オレの存在が彼にとっても心を休めることが出来る場所になればいいと願ってしまったんだ。 トレイくんが1年生から頑張ってきたのは、次の年に入ってくるであろう1つ年下のリドルという子の為である事は本人から散々聞かされていた。 最初はトレイくんがそこまで気にかけるくらいだからイイコなんだろうな、とか俺も仲良くできるかなとか思ってた。 だけどその幻想は打ち砕かれた。 入学したての彼は一週間で寮長に就任。 トレイくんは副寮長。 それからというものオレはモヤモヤした違和感に襲われることが度々あった。 トレイくんの隣にリドルくんが居ると思うと心臓の裏側がゾワゾワ粟立つみたいになって息が詰まるような感覚に襲われる。 別に彼がオレを避けていた訳でもなく、隣のクラスをまたいでいけば彼には会えたし談話室でおしゃべりすることだっていつも通り。 「ねぇねぇ、トレイくん。 今日の夜一緒に課題やらない??魔法史のわかんないとこ教えてよぉ〜」 だけどダメだったんだ。 「あぁ、すまない。 今夜はリドル用の苺タルトの仕込みをしておかないといけないんだ」 リドルくんはまるで彼は自分の為に用意されたものかのように彼の隣に陣取って、オレが彼といる時間をじわじわと侵食していった。 彼の耳馴染みのいい声で「リドル」と名前を呼んで、眉を下げて笑う顔を見た時、確かにオレの心に芽生えたモノは嫉妬だった。 ザラザラと舌の付け根に残る砂糖の感触みたいに気持ち悪いそれに気づいたときオレは自分の恋心も一緒に自覚してしまった。 馬鹿だよね、好きだって気づくのと同時に俺は失恋しちゃったんだ。 トレイくんの隣はリドルくんのもので、リドルくんの隣はトレイくんのもの。 オレなんかが指一本だって介入する余地のない完璧な二人だけの世界。 一瞬熱を持った心臓は急激に冷えていった。 いっそあのまま鼓動を止めてしまえたらいくらか幸せだったのに。 これがオレの恋物語。 始まりから終わりまできっと1ページにだって満たないだろう。 でも二人は違う。 二人が主人公の物語はまだまだ続いて、オレはたぶん当て馬キャラか脇役みたいなものだ。 幼馴染二人が結ばれて大団円のハッピーエンド。 だけどね、当て馬も当て馬なりに幸せになりたいじゃん? だから傍にいることくらいは許してよ。 オレが彼にとっての一番じゃなくてもいいから。 オレの気持ちは箱にしまって鍵をかけて、何重にも鎖を掛けて海の底に沈めてしまうから。 だから許して____。 外から見た感じではまだほとんどの寮生が起きているようでまばらに部屋の明かりが灯っている。 「はぁ…疲れた」 今日の部活はカミルくんがいきなり流行りの曲をやりたいって言い出すものだから部員で練習しているうちにあっという間に日が暮れてしまった。 楽器を弾くのは確かに興が乗るがなにぶん体力を使うことと汗をかくことがネックだ。 早くこの湿ったシャツを脱いでシャワーを浴びてしまいたい。 そしてメイクとともにこの顔に張り付いた仮面も落としてしまおう。 ガチャ、とオレを拒むことなくハーツラビュル寮の扉が開く。 どうやら談話室ではまだ数人の生徒がおしゃべりをしているようだ。 前までだったらこの時間は各自の部屋で勉強などをして過ごす時間であり、暗くなるまで談笑なんて考えられなかったことだ。 しかし、勇敢な新一年生たちの活躍でリドルくんが改心して以来、だいぶ嘗ての活気を取り戻した。 ドアが慣性によって閉まる。 開きっぱなしのドアから漏れてくる声を聞く限りでは件の寮長も彼処にいるみたい。 リドルくんのお気に入りの一番上等なソファでおそらく夕食後のティータイムを楽しんでいるのだろう。 紅茶の爽やかな香りと甘ったるいタルトの匂いが混ざり合って廊下まで広がっている。 自室のある上の階へ向かうには談話室横の階段を使わなくてはならないから必然的に会話が断片的に聞こえてくる。 早く部屋に戻りたくて歩みを進める。 キュ、キュと規則的にオレのスニーカーと床が擦れる音が聴こえて、 、 、 、 、 、 止まった。 談話室の扉の前で。 気づいてしまったから。 リドルくんの話相手がトレイくんだってことに。 オレの目に否が応でも飛び込んでくる横顔が、ナニカを慈しむような、愛おしくて堪らないみたいな、顔をしていることに。 極め付けにオレの鼓膜が拾い上げた彼の声がとっても優しくて、 「あぁ、好きだよ。 どうしようもないほどに」 それでいて、オレの恋心を絶望という名のナイフで滅多刺しにするものだから。 聞き間違いであればどれほどよかっただろう。 だが聞き間違いである筈がない。 ずっと聞いてきた、ずっと焦がれてた、オレの大好きな声なんだから。 どうしようもないのはこっちの方だ。 今すぐここから立ち去りたい。 聞かなかったことにして、二人に気づかれないうちに。 そうでなくては彼の側には居られない。 わかっているのに、なのに、足が動かない。 まるで突きつけられたみたいだ。 結局のところ美しい模様を貼り付けただけの蛾は、眩しい光から目を離すことができないんだと。 リドルくんの呆れたような声が聞こえてくる。 だけど頭が真っ白で、脳みそが膨張して頭蓋骨を押しやろうとガンガン喧しいものだから何を言っているかわからない。 兎に角この場から離れろとまだかろうじて正常に働く部分がアラートを鳴らしてくれたお陰で、なんとか足を一歩前に出そうとしたコンマ一秒、金色の虹彩と視線がかち合った。 トレイくんと目が合ってしまった。 彼が立ち上がったのとオレが目の前の階段に駆け出したタイミングはほぼ同じだった。 ドタドタと余裕無く階段を駆け上がる音がうるさいはずなのにオレの耳はキーンと耳鳴りがしていてとてもそれを気にすることはできなかった。 「おいっ、ケイト!」 後ろでオレを呼ぶあの声が聞こえた気がしたけれど立ち止まることはしない。 わかっていたじゃないか。 もう失恋したって。 だけど心の隅っこで期待していたんだ。 もしかしたら俺に振り向いてくれるんじゃないかって。 リドルくんじゃなくて俺を選んでくれるんじゃないかって。 でも運命は俺に残酷すぎる。 どうやったって俺は物語の主人公には慣れない。 明日になったら謝ろう。 それで今度こそ、この恋心を捨てて友人のケイト・ダイヤモンドをちゃんと演じ切ろう。 なんでかとても呼吸が苦しい。 ここはいつから海の底になったんだろうか。 それでもオレは足を動かさなくてはいけない。 さっきとは違ってちゃんと動いてくれる、よかった。 手すりを掴み、ターンをきかせて自室があるフロアに滑り込む。 一気に3階も登ったせいで息も絶え絶えに部屋の前についた。 胸の内ポケットから鍵を取り出して鍵穴に挿そうとする。 しかし、手が震えてうまく挿さらない。 かちゃかちゃと金属が甲高い音を立てるばかりで焦りが募る。 呼吸がまた速くなった。 左手で右手首をぐっと押さえて今度こそ、 (開いたっ…! そのまま鍵を引っこ抜いて、ドアノブを掴むと勢いよく部屋に入る。 蝶番が軋む音がした。 自分の城に帰ってきたことに安堵するのも束の間、弾かれたようにオレは振り返ってドアを閉めようとする。 だが、それは寸前のところでガタンという大きな音とともに阻まれた。 トレイくんがドアに手をかけて、おまけに足をストッパーがわりにして無理矢理こじ開けたのだ。 「と、トレイくん…!?なんでっ」 声が震える。 一体どうして彼がここに居るんだ。 彼はリドルくんのところにいるはずでは…なんで、なんで、なんで? 見上げると、どうやら彼も階段を駆け上がってきたみたいでゼェハァと荒く息ををしている。 ドアの隙間から見える彼の表情に先程までの穏やさはどこにもなく何かに怒っているような悲痛な顔をしている。 そんな顔しないでよ。 脈なしってわかってても哀しくなっちゃうよ。 トレイくんはグイッとドアを押して部屋に入ると、ゆっくりと俺に近づいてドアノブにかかったままのオレの手首を掴んだ。 「お前は、誤解してる!だからその誤解を解きにきた」 「っ!…誤解って何?」 極力いつもの声と顔を心がけて、続ける。 「あぁ、リドルくんのこと?大丈夫だよ、隠さなくても。 二人が好き合ってるのは傍からみてもわかるし今更誤解なんて…」 どうしよう。 苦しいよ。 自分の言葉がグサ、と頸動脈に突き刺さる。 更に呼吸がしづらくなった。 現実を見たくない一心で、俺は俯いてサイドにちょこんと出たもう片方の手で髪の毛を弄る。 「…ケイト」 突然に名前を呼ばれる。 「どうしたの?」の言葉は彼の唇に吸い込まれて消えた。 思い切り掴まれた手首を引き寄せられて顎を持ち上げられる。 目の前には緑の髪の毛と金色の虹彩がいっぱいに広がって、口で息が出来ないから鼻から空気を吸うと彼のにおいが肺に充満する。 「っん……ふぅ…」 口の中をトレイくんの舌が蹂躙していく。 歯列をなぞられ、舌の裏側を舐り、上顎を擽られると堪らなかった。 口端から混ざり合った唾液が溢れるのと呼応してトプ、と脳髄からドーパミンが溢れ出した感じがする。 そのまま快楽物質は血管に溶け出して足の付け根まで巡りガクガクと今にも倒れてしまいそう。 だけど、彼はオレの手首を離し腰に添えるともう片方はオレの後頭部を押さえてこれでもかとオレを舌で嬲る。 離れたいのに離れられない。 否、離れたくない。 これが夢ならもう二度と覚めたくない。 諦めるって決めたのに、なんて浅ましいんだろう。 どれほどそうしていたのかわからない。 数時間にも感じられたし、ほんの数十秒だったかもしれない。 唇が離されると銀の糸が二人の間に橋を架けて、落ちた。 トレイくんが離れるとオレはもう立っていられなくて息も絶え絶えにへたりとその場に座り込んでしまった。 すると彼は膝をついて、オレと、目をジッと合わせた。 「これでわかってくれたか?」 「なにを…?」 「俺がお前を好きってこと」 「は、」 意味のない吐息が漏れる。 「嘘だ」 「嘘じゃない」 「だって、トレイくんはリドルくんが好きで…さっきも…」 トレイくんは大きく溜息をつくと、諭すような口調で 「だから、それが誤解なんだ。 俺は、ずっとお前を見てた。 」 「ほんとに…?」 「本当だとも」 彼の表情はとても嘘を言っているようには見えなくて、オレがずっと向けて欲しかったやさしい瞳をしている。 「じ、じゃあ、オレはトレイくんの隣に居ても、いいの…?」 「いいも何も、俺の隣に立ってるのはいつだってお前だろう?」 「ふっ…うぁ…」 ポロポロ涙が出てきた。 止まんないよ。 際限を知らない涙は流れ続けたらこの部屋を満たしてしまいそうだ。 だけれどどうだろうか、泣いてしゃくり上げているのにもかかわらず、さっきよりも余程息がしやすい。 トレイくんがそっとオレの手を握る。 「なぁ、ケイト。 俺はお前が好きだよ。 だからお前の返事を聞かせてくれ。 」 「うん……オレも、トレイくんが好き!」 「ああっ」 途端に抱きしめられた。 伝わる体温と鼓動が心地いい。 オレもトレイくんの首に手を回す。 ぎゅっとすればするほど温かいものが流れ込んできて強張った心を溶かしてくれた。 こんな結末あって良いんだろうか。 こんな幸せあっていいんだろうか。 求めた言葉を手に入れて、求めていた人の腕の中にいる。 でも、手放したくないんだ。 これが儚い幻だとしてもいい。 END? 出会った頃のケイトはどこか蠱惑的な雰囲気を醸し出している一方で年相応の無防備さが彼の魅力を際立たせていた。 あのエメラルドグリーンの瞳に囚われた俺はそれをどうにかして手に入れようと何重にも糸を張りジッと獲物がかかるのを待っていた。 時に自ら手繰り寄せ、時には焦らしながらじっくりと。 俺はケイトが言動の割には他者に対する壁が厚く、本心を晒そうとしないことを知っていた。 しかし、一度心を許してしまった相手にはとことん執着することもよく知っていた。 結局あいつの本質は寂しがりやなのだ。 だからそこを利用した。 一年の間は心を開くよう側にいた。 いつでも頼ってもらえるポジションに意を構え何かあれば助けられるように。 二年になってからはリドルの存在があいつの嫉妬心を誘発するようにした。 具体的には今まで二人でいる時間の一部をリドルと過ごすことに費やした。 この行動が功を奏し、ケイトが俺にズブズブと溺れていく様子が手に取るようにわかった。 俺とリドルが一緒にいる時のあいつの瞳。 まるで全てを諦めてしまったかのような無機質な瞳が俺を興奮させた。 その瞬間ばかりは、あいつの中を独占しているのは俺自身なのだとそこはかとない優越感が俺を満たしてくれた。 あぁ、卑しい俺を許してくれ。 ただお前がほしくて堪らないだけなんだ。 「今日の紅茶はアッサムだ」 「うん、悪くないね」 ハーツラビュル寮の談話室は今日も平和だ。 あの事件以来、少しずつだが着実に明るい寮生活が戻りつつある。 俺とリドルはタルトを前に食後のティータイムと洒落込んでいた。 リドルはなんてことないような口調で質問を投げかける。 「トレイ、君の趣味嗜好にとやかく言うつもりはないがいい加減素直になったらどうだい?」 「…何の話だ?」 「ケイトのことだよ。 好きなんだろう」 どうやら我が主君は、デザートのお供に恋バナをご所望らしい。 そして俺がケイトを好いていることは傍目から見てわからなくとも、この女王様から見れば一目瞭然らしい。 だが今、リドルがまだ気づいていないことに俺は気づいていた。 ドアが閉まる音と、スニーカーの擦れる音、そして視界の端に移るケイトの姿に。 なんてタイミングが良いのだろう。 横目ではしっかり見えないが、きっとあの諦めきった瞳で俺を見つめているんだろう。 そう考えると、あいつがとてもいじらしくて、自然と笑みが溢れた。 確かにそろそろ頃合いだ。 ケイトが俺に溺れてきって息ができなくなったとき、あいつを救いあげるのも俺の役目だ。 さぁ、二人の恋を実らせるとしよう。 「あぁ、好きだよ。 穏やかな寝顔は茨の魔女が愛した健気な少女のように美しい。 きっと俺が恋に落ちるのは運命だったのだろう。 二人が結ばれることさえも。 だが、これはお伽話ではない。 俺は目の前で眠るケイトの唇に自分の唇を重ねた。 やっとここまで堕ちてきてくれたんだ。 END!

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Rin音 甘ったるいタルト 歌詞

甘ったるい タルト

甘い匂いのする監督生と甘いものが嫌いじゃないライオンの話です。 ありがとうございます!• 忙しくて、後回しにしていた掃除をしようと思って、談話室の窓を開ける。 外は、木々が太陽に照らされ新緑が穏やかに揺れ、空も一面の青空で、雲ひとつない晴れやかな春の風が心地よい休日のお昼。 そんな景色を見たからか、掃除をする気持ちもしぼみ、せっかくグリムもいないし、息抜きに出かけようと、スニーカーを履き、寮を出た。 こちらに来てから、こんな穏やかな日は初めてで、どこに行こうか迷いつつ、メインストリートを歩いていたら、トレイ先輩からリドル寮長の一件の詫びだと、お手製のタルトタタンをいただいた。 先輩のタルトはリドル寮長が認めるほどのこともあり、本当に美味しいから、お礼を言って遠慮なく受け取る。 今日は、いいことばかりだ。 その後、すぐさま食堂へ向かい、アイスティーを買ったのは良いものの、せっかく貰ったタルトを食堂で食べるのは味気ないと思い、植物園へとやってきた。 「こないだの栗拾いの時にたまたま見つけたテラス席〜!ここって、穴場なのかな?」 周りを見渡すと、熱帯ゾーンというだけあって、深緑の草木や色とりどりのカラフルな花が植えられている。 テラス席は、地面が赤レンガで丸く舗装されており、植物で席の周りを囲われている。 私は、その中央に置かれている白のアンティークテーブルの席につく。 箱を開くと、柿色に染まった熟したリンゴがぎゅうぎゅうに詰まった宝石が出てくる。 2つあるのは、きっとグリムの分ということだろう。 さっそく、1つを出して食べ始める。 「ん〜〜、おいしい!」 濃厚な甘い蜜がしっかりと林檎の中に染み渡り、林檎のほどよいシャキッという音とタルトの生地がとマッチして、とても美味しい。 あぁ、しあわせ〜。 そんな幸せを堪能していると、斜め前の草木がガサゴソと揺れた。 」 「ん?!レ、レオナ先輩…」 「チッ、ここは俺の縄張りだっつてんだろ」 「はは、すみません…。 ここ、居心地いいからつい」 「とっとと、失せろ」 「…これだけ、食べていっちゃダメですか?あ!良かったら、先輩もいかがですか?」 「だれが草食動物の食うものなんか食べるか」 「トレイ先輩のタルトは逸品ですよ!」 「トレイのタルト?……寄越せ」 「 トレイ先輩のタルトには、興味あるのか… 」 トレイ先輩のタルトというと、少しだけレオナ先輩の尻尾が揺れた。 レオナ先輩は、私の向かいに座り、勝手に箱の中からタルトタタンを取り出して、そのままガブつく。 ご、豪快だ、さすが百獣の王。 やはり、トレイ先輩のタルトの前では、レオナ先輩も百獣の王から可愛い猫になるようだ。 その証拠に、尻尾が先輩の腰あたりでくねくねと嬉しそうに動いている。 口に含むのが多かったのか、ほっぺを膨らませながらもぐもぐと動く口は、普段の鋭い牙すらも隠し、威圧感はない。 あ、口の横にリンゴの欠片が付いてる。 「先輩、口の横にリンゴついてますよ」 「…うるへぇ」 「ふふ、ちょっとじっとしてくだ、さ…」 そう、威圧感がなく、猫みたいと思ってしまったから。 グリムによくやるから、癖になってしまっていたのだろう。 私は、前のめりになり、ティッシュ片手にレオナ先輩の口の端を拭って、いや、拭おうとした。 レオナ先輩の目が私を捉えて、視線が合った瞬間、体が固まる。 「す!すみません!!!」 「…寄越せ」 「ひっ」 思考が追いつかず、ティッシュが無くなった手を引いた瞬間、アイスティーに手が当たり、一気に中身が溢れる。 アイスティーは、まだ半分残っており、私とレオナ先輩の服に飛び散る。 ティッシュを奪い、自分で口周りを拭く先輩は焦ることなく、ため息をつきながら、席を立つ。 あたしは、すぐさま謝り、ティッシュをレオナ先輩に渡す。 「服!濡れてます!」 「あ゛?これぐらい気にしねぇ。 いいから、机の上を掃除しろ」 「…はい。 」 机の上を元のように綺麗にし、お互い再び席に座り直すと無言が訪れる。 うぅ、レオナ先輩の不機嫌な目線が痛い。 できるだけ、目線が合わないようにタルトに目を移し、内心、汗はダラッダラである。 はやくこの場から逃げたいが、まだ、私のタルトタタンが 「…おい。 」 「はい!すみません!」 「ハァ…気にしてんなら、明日の昼に学食のヒレカツダブルサンド買ってもってこい」 「ヒレカツ?」 「じゃあな」 片手を上げて、先ほど来た道に向かうレオナ先輩の背中を見る。 どうやら、ご飯パシリ係に任命されたようである。 ** 約束の日。 エース達には、お昼に用事があると伝え、グリムのことを任せた。 授業終了と共にクラスを飛び出して、ヒレカツダブルサンドゲットし、植物園へとやってきた。 もし、ヒレカツダブルサンドをゲットできなかったら、どんな恐ろしいことをされるのかと想像するだけで怖い。 こうして、やってきたのだが、先輩はお昼寝中である。 ほんと、この人、いつでも寝てるな この脇の方に、サンドイッチ置いて帰ってもいいかな。 できれば、これっきりにして、変にドキドキしない生活を送りたい。 と現実逃避しつつ、レオナ先輩を見る。 肉体派が集まるといわれるサバナクロー寮の寮長であることもあってか、体格の良さや野性的な雰囲気が見るだけでも感じる。 何より美形すぎる。 この学校が共学なら、きっと女子をとっかえひっかえだろう。 庶民からすれば、不真面目ではあるが、本気を出せば文武両道、容姿端麗に加え、統率がとれるカリスマ性を持つ先輩は、第二王子を抜いても、とても魅力的に見える。 一件の事件から、きっと、彼自身は自分の良さを過小評価しすぎなのではと思うが、私が言ったところで何も変わらないのだろう。 「…ん。 あぁ、また甘ったるい匂いがすると思ったら、お前か」 「どうも、先輩。 お約束のヒレカツダブルサンドをお持ちしました!」 「あぁ。 おまえ、…今日も菓子持ってんのか?」 「飴ならありますよ?こっちには、ないお菓子なんですけど良かったらあげます。 」 あくびをして、今も眠そうにしている先輩を横目に、ポケットに入れておいたべっこう飴を取り出す。 「砂糖を溶かして固めたものなんです。 かなり甘いので、苦手だったら捨ててください。 」 「…綺麗な色だな」 そういってレオナ先輩は飴を太陽に透かす。 飴を覗き込む先輩の目は優しげで、飴を通って、反射した光がキラキラと先輩を照らす姿は、なんとなく神秘的で見惚れてしまった。 「ところで、先輩。 今日もあのテラス席を使っていいですか?」 「…おまえもほんと諦めないな」 「お願いします!唯一、見つけた癒やしの場所なんですよ〜」 「ハァ、今日だけだ」 「ありがとうございます!」 さっそく、テラス席に向かって、お昼を食べてしまおうと立ち上がると、レオナ先輩も服についた草を払いつつ、立ち上がり、テラス席に向かって歩き始める。 どゆことだ。 「ほら、はやく来い。 」 「は、はい」 レオナ先輩の背中を追いかける。 先輩の尻尾は、優雅に揺れていて、やっぱり、美味しいものを食べるのは、レオナ先輩でも嬉しいのかと不意に思った。 あれ?というかこれ一緒にご飯食べるってこと? [newpage] あのヒレカツ事件 私命名 からというもの、植物園で懲りずに1人お茶会をしようとすると、どこからともなく先輩が現れ、一緒に美味しいものを食べるようになった。 お茶会と自称しているだけあって、クッキーやスコーンなどの甘いお菓子と紅茶を持っていくのだが、レオナ先輩は不機嫌そうなオーラを出ているものの、嫌味などは言わず食べてくれるから不思議である。 それに、やっと最近分かったことだけど、甘いものを食べる時のレオナ先輩は、なんとなく表情が緩み、特に尻尾がゆらゆらと揺れる。 他の人には言いづらい好みなのかもしれないが、新しい発見に少し嬉しい気持ちになる。 話が弾むわけではないが、私が自分の世界の話や学園のことを話すと、レオナ先輩も面倒くさそうだけど、必ず言葉を返してくれるから、きっと話しかけてもいいのだろうと勝手に思うことにしている。 そんな言葉に表しづらい関係ではあるけど、なんとなく心地よい空間が私はとても好きだった。 そんなお茶会を数回繰り返していると、レオナ先輩は植物園以外で話しかけてくるようになった。 レオナ先輩は、気軽に誰かに話しかけようとする柄ではないのに、なぜ話しかけてくるのか思うだろう。 けれど、先輩の目的は、お気に入りのべっこう飴を貰うことだから、断ることもできない。 ご飯パシリ係からお菓子係に変更になった身としては、べっこう飴だけで許されているのはありがたいことである。 余程気に入ったのか、会うとほぼ声をかけられるから、いつもべっこう飴を持ち歩くようになってしまった。 しかし、ここで問題発生である。 他の生徒から見たら、見たことのない透明な玉をレオナ先輩が魔力なしの生徒から貰っていることになるのだから、あの玉のせいでレオナ先輩が操られてるだの、私が舎弟にしてほしいとせがみ、賄賂としていい金になる玉を渡しているなどと言った噂が流れるようになった。 なぜだ、返せ、私の平穏。 だけど、これ以上目立ちたくないのも正直なところだから、私はある作戦を実行することにした。 「あ、レオナ先輩いた。 」 「ふぁ…なんだ」 「えーっと、これ!全部あげます!」 名付けて、「べっこう飴たんまり作戦」である! 大体、100個ぐらいは入ってるべっこう飴である。 2ヶ月間は余裕で足りる量を作ったつもりだ。 「あ?んなに、いらねーよ」 「でも、これでわざわざ私に言わなくても良くなりますよ?」 「…」 「と、とりあえず、これはレオナ先輩のために作ったので、ぜひ食べてください。 飽きたら、他の人にでも配っていいので」 「あぁ」 「それと、あの噂知ってます?」 「噂?なんだそれ」 「知らないならいいんです!ただ、べっこう飴欲しいなら、たくさん作ってもってきますけど、最近やることが増えて、忙しいので、当分ここに来れなさそうってことを伝えたくて。 」 「そうか。 …ま、これでやっと、オレのナワバリも静かになるってもんだ」 「はは、そんな邪魔者扱いしないでくださいよ…」 言ってから、後悔する。 目がなんか怒ってた!べっこう飴あげたのに、美味しいの好きなんでしょ!喜んでよ!緊張と焦りと急に走ったことで、色んな気持ちが入り混じったドキドキの中に、ズキッと別の痛みが走ったのは気づかない振りをして、ひとまず最低2ヶ月はあまり目立たなくてすみそうだと、一時的な平穏を喜んだ。 ** あれから、約1ヶ月の間、レオナ先輩に会うこともなく、元の日常が戻りつつあった。 お茶会という癒しが無くなった私のストレスは溜まるばかりだが、噂が消えるまで我慢するしかない。 しかし、平穏は些細なことで崩れるものである。 次の授業の場所が変更になったと、エース達と教室を移動していた時のこと。 「だーかーらー、あれは、ただの飴!私の世界では、みんな知ってるようなお菓子だよ」 「あのキラキラしたのが?!ぜってーなんか隠してるだろ。 じゃなきゃ、あのサバナクローの寮長が監督生にわざわざもらいにくるはずねー」 「先輩も、実は甘党だったりするんだよ」 「…監督生」 「そんなに言われても、今はあの飴持ってないからあげられないよ」 「僕はいらない。 はぁ、前見てみろ。 レオナ先輩だぞ」 「え?」 エースが噂を信じて、飴を寄越せと言うのを宥めつつ、歩いていると、レオナ先輩とラギー先輩が前の方から歩いてくるのが見えた。 今のレオナ先輩は、前あげたべっこう飴を持ってるはずだから、私に話しかけもしないだろう。 気にしなくていいのに。 すぐ先に先輩の姿が近づく。 前に向けた視線をエース達に戻し、私の世界のお菓子を話そうと口を開こうとしたが、レオナ先輩があたしの前まで来て立ち止まる。 「せ、先輩?おひさしぶりです。 」 「…チッ、今日も甘ったるい匂いがぷんぷんしてやがる」 「え?すみませんけど、今日は飴持ってないですよ?」 「あ゛?んなわけないだろ」 「えぇ…」 「シシシッ、レオナさーん。 それって、俗にいう」 一緒にいたラギー先輩が訳知り顔で、レオナ先輩に耳打ちをする。 その様子を見ていると、何故かレオナ先輩の耳がピコピコと忙しなく動き始め、尻尾も落ち着きがなくなる動き始めた。 不意にくる動物感、可愛すぎる。 「んなわけねぇだろ」 「そすかね〜。 じゃあ、おれがいただいちゃってもいいっすよね?」 「…チッ、おい。 監督生、明日の昼、ヒレカツダブルサンドだ。 …あと、飴持ってこい」 「ヒレ、、あめ」 「じゃあな。 」 レオナ先輩の後に続いて、ラギー先輩もじゃねーと手を振りながら去っていく。 な、なんだったんだ?エース達に、レオナ先輩との関係について、質問責めになったが、質問されてもはっきりと答えられなかった。 言葉に表せない関係に正直、切ない気分になって、もっとレオナ先輩を知りたいと思うのは、きっと特別な気持ちがあるからだ。 [newpage] 久々の植物園に心を弾ませながら、先輩のいつものお昼寝スペースへ向かう。 今日も太陽が植物を照らし、ここ最近来れなくて溜めたストレスがちょっと軽くなる。 これから、先輩との時間ができると思うと、少し気恥ずかしいが、心はルンルンである。 「せーんぱい。 起きてくださいよ。 頼まれたものは買ってきましたよ」 「…おせぇ」 「これでも早く来たほうです!そういえば、昨日、なんで1年生の教室の廊下にいたんですか。 3年生の教室に行くには遠回りですよね?」 「なんでだろうなぁ。 …うまそうな匂いがしたんだよ」 「んん、そんな匂いしてましたっけ?」 「あぁ、」 そういうと、先輩は私の手首を引っ張り、体格差から丁度、先輩の足の隙間に横になるように抱きこまれる。 急な展開に混乱しつつ、先輩の指先が私の首元の血管を滑るように撫で、顔を寄せるとスンスンと匂いを嗅ぐ。 その恋人みたいな甘い抱擁に恥ずかしくなって、顔だけでも逸らそうとすると、首元を余計晒してしまい、その隙を逃さんばかりに、レオナ先輩が首元にキスを落とす。 ちゅっというリップ音がすると、首元にあったはずの手が顔に添えられ、目線を逸らせないように上を向かされる。 木漏れ日に照らされた先輩に影ができ、深い緑色に染まった瞳から目が逸らせなくなる。 「甘ったるい酔いそうな匂いだが、これがオレのものっていう匂いだと思うと悪くねぇ気分だ」 「ちょっ、先輩、まって」 「知ってっか?」 人間も動物も、自分の番は匂いで分かるんだってよ 耳元で囁かれた熱のこもった言葉に、余計にクラクラする。 その言葉を素直に受け取っていいならば、こっちだって。 仕返しとばかりに、先輩の首元に顔を寄せ、同じように匂いをスンスンと嗅ぐ。 先輩は、ビクッと震えたけど、お構いなしに、もっと擦り寄る。 きっと、余裕を奪われた私の思考は、ドロドロに溶けていたんだろう。 「ん、すき」 木々からもれる木漏れ日が2人を照らし、その言葉を合図に木陰に温かな影が重なった。 「というか!甘い匂いに敏感なのは先輩が甘党だからと思ってたんですけど」 「菓子は別に嫌いじゃねぇーよ。 まぁ、当分はお前で十分だ」 「ええ…。 監督生が、あのレオナ先輩が餌付けしてるって話。 」 「先輩の耳に入ると恐ろしいと、生徒たちもある程度セーブして流した噂だろうから本人たちの耳には届かないだろうけどな。 」 「廊下ですれ違った時は、ほんと、ヒヤヒヤしたわ〜」 「オレ達は睨んできたのに、あいつの前では尻尾も揺れて、なんか優しげだったんだゾ」 「…ラギー先輩のしたり顔が目に浮かぶ」.

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